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Japanische Klassiker mit Furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.625 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

と書いた紙を門口に貼り付けて疫病除けの呪禁とすることが流行って、ひところは軒並にその紙片が見られたが、風邪も蟄伏した真夏の今日までそんな物を貼っておく家はまず一戸もなかった。ところが、この八州屋の、左手小路寄りの大柱にはちゃんと久松留守と書いた鳥子紙が木綿糸で釘から下がっている。剥ぎ忘れたのなら貼りついていべきもの、それが掛外し自在の仕組になっているのがなんとはなしに藤吉の注意を惹いた。鳥子紙を使ってあること、新しく書いたものらしいこと、気にすればこれらも不審の種だったが、なかんずくその書体と筆勢――。

「誰の字だ?」

紙から眼を離さずに藤吉が訊いた。

「知りません。」

と小僧は鼻汁を啜った。

泥路に立った裸足の三人は、じいっと久松留守の四字を白眼んで動かなかった。まだ店を開けない町家続きに、今日一日の晴天を告げる朝靄が立ち罩めて、明るい静寂のなかを、右手鎧の渡しと思うあたりに、時ならぬ烏の声が喧しかった。

「みんな、こう、踏むと承知しねえぞ。」

露地に印いた足駄の跡を避けて、小僧に案内させた藤吉は子分二人を引具して家について裏口へ廻った。

「親分、見当は?」