Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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てつのしょじょ

鉄の処女

大倉 燁子

Lesen Sie 鉄の処女 (てつのしょじょ) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.706 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

弟は旅費は勿論当分の小遣まで渡してくれましたので、やはり何と云っても兄弟だなと染々思いました。

私は約束通り次の船で日本へ帰りました。横浜まで出迎えに来ていてくれた弟と連れ立って、懐しさと、云いようのない喜びに胸をおどらせながら、東京へ入りました。

ところがどうでしょう、彼は私を欺いたのです。自分の邸へ連れて行くのだと申して、市外のある私立精神病院へ連れ込んだではありませんか。

私はその時始めて弟の悪辣な計画を知って憤り、彼が時機を見て発表するからそれまでは秘密にしていろ、と堅く口留めしました自分の身分をすっかり院長に語ってしまいました。そして本当は私が伯爵家を相続すべき人である事まで委しく説明したのですが、院長はにこにこして私の話をただ聞いているだけで、一向取り上げてくれず、その日から私は伯爵様というニックネームで、狂人としての取り扱いを受けるようになりました。

厳重な監視のもとに幾月かを過しましたが、弟はそれきり一度も訪ねても来ませんでした。私は憤りに燃えました。そして毎日彼への復讐をのみ考え暮らすようになりました。後になって聞いたことですが、私の一生涯の入院料は、彼の手から院長へ前納してあったのだそうです。