Japanische Klassiker mit Furigana
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てつのしょじょ
鉄の処女
大倉 燁子
Lesen Sie 鉄の処女 (てつのしょじょ) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.706 Zeichen · 42 Bildschirme
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そして只今のお住居は?』
『お住居? アハハハハハ。それはちょっと申せませんな』
『ではどうしてお返事を申上げたらよろしゅうございましょう?』
『御用があったら新聞へ広告を出して下さい、暗号でもよろしい。しかしこのまま逃げてしまおうたって、逃がしやしませんよ。あなたの蔭には私がいつでもついていると思って下さい。どこからか、あなたを凝と見ていますから』
智恵子は夕闇の中で身慄いしました。
7
その日きり私は智恵子を見ません。随分注意していたのですが、恐らく彼女はそれ以来外出もしなかったのだろうと思っていました。
一ヶ月ほどたっても智恵子からは音信がないので、私は彼女の心を疑い始めました。私に会った時は何しろ突然の事ではあり、驚きの余り一時逃れにああは約束したものの、さて考えてみれば馬鹿々々しい、せっかく自分達のものになっているのに、むざむざと返してしまうなんて詰らない、という欲心が起ったかも知れない。事によると、弟と一緒になって自分を欺く気かも知れない。私はうかうかしてはいられません。ああいう人達の事ですから、どんな悪計をめぐらすかも分りませんからね。人知れず捜索の手を延し、いきなり掴えるのではないかと思うと心配になって、何となく身に危険の迫っているのを感じます。