Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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てつのしょじょ

鉄の処女

大倉 燁子

Lesen Sie 鉄の処女 (てつのしょじょ) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.706 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

智恵子の声は剣のように鋭く、伯爵の胸を刺したらしかったんです。

弟はすっくと立ち上って、智恵子の方へ一歩進みました。彼の顔に怖しい表情を見た私は思わずアッと小さい叫び声を出しました。弟は気が付かなかったようでしたが、智恵子は窓の方を振り向いて、そこに私の顔を見たのでしょう、よろよろと立ち上りましたが、直ぐまた椅子の中に倒れてしまいました。

気絶したのでしょう。弟がベルを鳴らしたり、女中を呼ぶ声がしたりして、俄かに家の中が騒々しくなりました。

私は裏口からこっそり逃げ出しました。

それきり伯爵邸へは行きませんでした。それから十日ばかり過ぎましたら、智恵子が死んだということが新聞に出ていましたので、非常に愕きました。他殺か、自殺か、とありましたので、思わずはっと胸を打たれました、他殺なら別問題ですが、もし自殺だったとしたら、彼女を死に導いたものは私なんです、智恵子は私との約束を果し得ず、責任を感じて、死んで謝罪する積りだったとしか思われないんです。そう考えると譬え直接手を下さないといっても、私が殺したも同様ではありませんか。あれ以来日夜良心にせめられて、苦しくて、苦しくて堪らないんです。