Japanische Klassiker mit Furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Lesen Sie 錦木 (にしきぎ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.481 Zeichen · 103 Bildschirme
時々女達には、
「彼の人はどうして居るのだろう、私は心配で仕ようがない」
などと云う位のものであったので女達はもうきっと御あきらめになったのだろう位に云い合って居たけれども中々それどころのさわぎではなかった。光君はどうせ沢山の人に云ったところで自分の満足する様になぐさめて呉れるではなし又それについて身分相当に力をつくして呉れると云うのでもないから甲斐のない事だと思って居られるので、胸ははりさける様になっても乳母だけにほか心の中は打ち合ける事をしなかった。思いに思い考えに考え抜いて我慢の出来ない様になった弟君は、
「どうぞあの人の部屋につれて行ってお呉れ、只あの人の部屋に行った丈で満足するのだから」
と云われたが乳母はどうしたものかと考え込んで一寸には返事をしないで居ると、
「それもいやなのか、御前は思ったよりたよりにならない人だった。私はけっして彼の人を苦しめる様なことはしない、私はあの人を死ぬほど思ってるんじゃないか」
乳母はまだだまって居る。
「お前はまだだまって居るのカエ。私は自分の命のもう長くない事を知って居る、思い出にどうせ死ぬ命ならと望んで居るのにそれさえお前は許して呉れないのか、私は自分の生の母よりも御前をたよりにして居るのに」