Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

にしきぎ

錦木

宮本 百合子

Lesen Sie 錦木 (にしきぎ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.481 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

まわった。いろいろの思はしずかな空気と結び合ってわき出る様に歌になった。その美くしい立派な歌は惜し気もなく光君の口からもれて桜の梢に消えて行く、沢山の歌が空に飛んだ時対いの屋にポッと一つ生絹の障子をぼかして燈火がついた。光君の眼は嬉しさにかがやいた、歌の声を止めて一つ一つふえて行く燈火の光を見つめて居た。自分の目ざす部屋には中々燈火の光が見えなかった。

「マア何と云う察しのない事だろう、私は彼の人の部屋には一番先に燈火の光が見える様にと祈って居るのに彼の可愛ゆらしい童も私の心は知らない」

誰にもはばからず云った一人ごとも歌声と同じように桜の梢に消えた。小供の様に待ち遠しがる光君は目でも瞑って居たら一寸でも早くなった様に感じるかも知れないと、かるく目をつぶってうす墨でぼかした様に立って居る桜の梢に身をよせた。廊を歩るくかるい足音や小さい童の女達にからかわれて高い声を出してかけて行く音などがともすれば流れ出しそうになる光君の涙を止めて居た。時々そうと目を開いて彼の人の部屋の障子を見たけれ共なかなかなつかしい様な燈火のかげは見えなかった、その度に光君の悲しさはまして行った。