Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うし

鎧櫃の血

岡本 綺堂

Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme

Aozora Bunko

表看板には例の国姓爺が虎狩をしている図をかいて、さあ、さあ、評判、評判と囃し立てることになった。」

「でも、虎と猫とは啼き声が違うでしょう。」

「さあ、そこだ。虎と猫とは親類すじだが啼き声が違う。いくら虎の子でもニャアとは啼かない。それは友蔵らもさすがに心得ているから、抜目なく例のインチキ手段を講じた。まず舞台一面を本物の竹藪にして、虎狩の唐人どもがチャルメラや、銅鑼や鉦を持って出て、何かチイチイパアパア騒ぎ立てて藪の蔭へはいると、そこへ虎の子を曳いて出る。虎の首には頑丈な鉄の鎖がつないである。

藪のかげではチャルメラを吹き、太鼓や銅鑼や鉦のたぐいを叩き立てるので、虎猫もそれにおびやかされて声を出さない。万一それがニャアと啼きそうになると、それを紛らすように、銅鑼や鉦をジャンジャンボンボンと激しく叩き立てるのだ。いや、笑っちゃいけないというのに……。昔の両国の観世物なぞは大抵そんなものだ。」

「その観世物は当りましたか。」

「当ったそうだ。おまけにこの虎猫は奥山の鯨とちがって、生きているのだから腐る気づかいはない。せいぜい鰹節か鼠を食わせて置けばいいのだ。