Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
「どうして連れて帰ったか、そこまでは聞き洩らしたが、その大猫を江戸まで抱え込むのは、一仕事であったに相違あるまい。ともかくも本所の家へ帰って来ると、弟の幸吉はその猫をみてたいへんに喜んで、これは近年の掘出し物だという。両国の小屋に出ている者も覗きに来て、こんな大猫は初めて見たとおどろいている。こうなると友蔵夫婦も鼻を高くして、これも成田さまの御利益だろうとお常はいう。
鮫洲の鯨とちがって、買値はたった一朱だから、損をしても知れたもので、まったく掘出し物であったかも知れない。
なにしろ珍しい猫に相違ないのだから、猫は猫として正直に観せればよかったのだ。これは野州庚申山で生捕りましたる山猫でござい位のことにして置けば無事だったのだが、そこが例のインチキで、弟の幸吉が飛んだ商売気を出した。というのは、それが三毛猫で、毛色が虎斑のように見える。それから思い付いて、いっそ虎の子という事にしたらどうだろうと発議すると、成程それがよかろう、猫よりも虎の方が人気をひくだろうと、友蔵夫婦も賛成した。
そこで、これは唐土千里の藪で生捕った虎の子でござい……。
いや、笑っちゃあいけない、本当の話だ。