Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
火消たちも追って行く。だんだんに弥次馬も加わって、大勢がわあわあ言いながら追って行く。そうして、とうとう両国の広小路へ出ると、なんと思ったか一匹の牛は左へ切れて、柳原の通りを筋違の方角へ駆けて行って、昌平橋のきわでどうやらこうやら取押えられた。」
「もう一匹はどうしました。」
「それが話だ。もう一匹は真直に、浅草見附、すなわち今日の浅草橋へさしかかったが、何分にも不意の騒ぎで見附の門を閉める暇もない。番人たちもあっといううちに、牛は見附を通りぬけて蔵前の大通りへ飛び出してしまったから、いよいよ大変。この勢いで観音さまの方へ飛んで行ったら、どんな騒ぎになるか知れない。両側の町家から大勢が出て来て、石でも棒切れでも何でも構わない、手あたり次第に叩きつける。札差の店からも大勢が出て来て、小桶や皿小鉢まで叩きつける。
さすがの牛も少しく疲れたのと、方々から激しく攻め立てられたのとで、もう真直には行かれなくなったらしく、駒形堂のあたりから右へ切れて、河岸から大川へ飛び込んだ。汐が引いていたと見えて、岸に寄った方は浅い洲になっている。牛はそこへ飛び降りて一息ついていると、追って来た連中は上からいろいろの物を投げつける。