Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うし

鎧櫃の血

岡本 綺堂

Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme

Aozora Bunko

こうなれば藁でもつかむ場合だから、牛でも馬でも構わない。小雛は夢中で牛の角にしがみついた。もう疲れ切っているところへ、人間ひとりに取付かれては、牛もずいぶん弱ったろうと思われるが、それでもどうにかこうにか向う河岸まで泳ぎ着いて、百本杭の浅い所でぐたりと坐ってしまった。小雛は牛の角を掴んだままで半死半生だ。そこへ旦那の船が漕ぎ着けて、すぐに小雛を引揚げて介抱する。櫛や笄はみんな落してしまい、春着はめちゃめちゃで、帯までが解けて流れてしまったが、幸いに命だけは無事に助かったので、大難が小難と皆んなが喜んだ。命に別条が無かったとはいいながら、あんまり小難でもなかったのさ。」

「その牛はどうしました。」

「牛も半死半生、もう暴れる元気もなく、おとなしく引摺られて行った。なにしろ大伝馬町の川口屋も災難、自分の店の初荷からこんな事件を仕出来して、春早々から世間をさわがしたので、それがために随分の金を使ったという噂だ。さもないと、どんなお咎めを受けるかも知れないからな。自分の軒に立てかけてある材木が倒れて人を殺しても、下手人にとられる時代だ。これだけの騒動を起した以上、牛の罪ばかりでは済まされない。