Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
広い川だから大丈夫だと、旦那がなだめてもなかなか肯かない。もちろん牛はこの船を狙って来るわけではあるまいが、さっきからの闘いで余程疲れているらしく、ややもすれば汐に押流されて、こちらの船に近寄って来るようにも見えるので、旦那もなんだか不安になって、早くやれと船頭に催促する。船頭も一生懸命に漕いでいると、牛はもう弱ったと見えて、その姿はやがて水に沈んでしまったので、まあよかったと小雛はほっとする間もなく、一旦沈んだ牛はどう流されて来たのか、水から再び頭を出した。それがちょうど小雛の船の艫にあたる所だったので、旦那も船頭もぎょっとした。小雛はきゃっといって飛び上がる途端に、船は一方にかたむいて、よろける足を踏み止めることが出来ず、旦那があわてて押えようとする間に、小雛は川へころげ落ちた……。」
「やれ、やれ、飛んだ事になりましたね。」
下
老人は話しつづける。
「小雛も柳橋の芸者だから、家根船に乗るくらいの心得はあったのだろうが、はずみというものは仕方のないもので、どう転んだのか、船から川へざんぶりという始末。これも一旦は沈んだが、また浮き上がると、その鼻のさきへ牛の頭……。