Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

に、さんば――じゅうに、さんば

鏡花短篇集

泉 鏡花

Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

五尺ばかり前にすらりと、立直る後姿、裳を籠めた草の茂り、近く緑に、遠く浅葱に、日の色を隈取る他に、一木のありて長く影を倒すにあらず。

背後から声を掛け、

「大分草深くなりますな。」

「段々頂が近いんですよ。やがてこの生が人丈になって、私の姿が見えませんようになりますと、それを潜って出ます処が、もう花の原でございます。」

と撫肩の優しい上へ、笠の紐弛く、紅のような唇をつけて、横顔で振向いたが、清しい目許に笑を浮べて、

「どうして貴方はそんなにまあ唐天竺とやらへでもお出で遊ばすように遠い処とお思いなさるのでございましょう。」

高坂は手なる杖を荒く支いて、土を騒がす事さえせず、慎んで後に続き、

「久しい以前です。一体誰でも昔の事は、遠く隔ったように思うのですから、事柄と一所に路までも遙に考えるのかも知れません。そうして先ず皆夢ですよ。

けれども不残事実で。

私が以前美女ヶ原で、薬草を採ったのは、もう二十年、十年が一昔、ざっと二昔も前になるです、九歳の年の夏。」

「まあ、そんなにお稚い時。」

「尤も一人じゃなかったです。さる人に連れられて来たですが、始め家を迷って出た時は、東西も弁えぬ、取って九歳の小児ばかり。