Japanische Klassiker mit Furigana
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に、さんば――じゅうに、さんば
鏡花短篇集
泉 鏡花
Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme
人は高坂の光、私の名ですね、光坊が魔に捕られたのだと言いました。よくこの地で言う、あの、天狗に攫われたそれです。また実際そうかも知れんが、幼心で、自分じゃ一端親を思ったつもりで。
まだ両親ともあったんです。母親が大病で、暑さの取附にはもう医者が見放したので、どうかしてそれを復したい一心で、薬を探しに来たんですな。」
高坂は少時黙った。
「こう言うと、何か、さも孝行の吹聴をするようで人聞が悪いですが、姉さん、貴女ばかりだから話をする。
今でこそ、立派な医者もあり、病院も出来たけれど、どうして城下が二里四方に開けていたって、北国の山の中、医者らしい医者もない。まあまあその頃、土地第一という先生まで匙を投げてしまいました。打明けて、父が私たちに聞かせるわけのものじゃない。母様は病気が悪いから、大人しくしろよ、くらいにしてあったんですが、何となく、人の出入、家の者の起居挙動、大病というのは知れる。
それにその名医というのが、五十恰好で、天窓の兀げたくせに髪の黒い、色の白い、ぞろりとした優形な親仁で、脈を取るにも、蛇の目の傘を差すにも、小指を反して、三本の指で、横笛を吹くか、女郎が煙管を持つような手付をする、好かない奴。