Japanische Klassiker mit Furigana
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ながさきのかね
長崎の鐘
永井 隆
Lesen Sie 長崎の鐘 (ながさきのかね) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.109 Zeichen · 131 Bildschirme
この大学はもう戦になれていた。
警戒警報が鳴りわたった。病院の大廊下へ講堂から学生の群が流れだし、幾組かのかたまりになってそれぞれの持ち場へ散っていった。本部伝令がいちはやくメガホンで情報を叫びながら廊下を走り去った。相変わらず今日も南九州に大規模な空襲があるらしい。引きつづいて空襲警報が鳴りだした。空を仰ぐと澄みきった朝空にちかちか目を射る高層雲が光り、どうやら敵機の来そうな気配がする。目に見えぬ音波がうす気味わるく、あとからあとからあちこちのサイレンがうなり出す。もうわかってるよ、そんな不吉な音はもう真っ平だと耳を押さえたくなるまで、うなっては休み、うなっては休む。これは少なくとも勇気を振るいおこす音ではない。
さるすべりの花が真っ赤だ。夾竹桃の花も真っ赤だ。カンナはまったく血の色だ。病院の玄関を待機所にさだめられている担架隊の医専一年生たちが、この赤い花の陰の防空壕にひそんで、いざという時を待ちかまえている。
「一体全体、戦況はどうなんだろう」鹿児島中学から来たのがいう。
「俺が同級生もずいぶんたくさん予科練でいっとるばって」
「友軍機はどないしとるんやろ」