Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ながさきのかね

長崎の鐘

永井 隆

Lesen Sie 長崎の鐘 (ながさきのかね) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.109 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

私は、患者をさらに丘の上の畑に移す決心をした。これは、なかなか難しい作業だった。なにしろ路が狭いうえに家屋の破壊物で塞がれているので、岩肌や石垣をよじ登って瀕死の傷者を次から次と運び上げるのである。私も二人背負ってはい上がったが、三人目にはもう力がぬけてしまっているのを自分で知った。こめかみ動脈の出血が依然止まらず、あれから三度三角巾を取り替えたほどである。婦長さんが顔色が青いと注意してくれた。なるほど脈もよほど細くなっている。樽ちゃんと豆ちゃんとが軽々と大きな男を背負って上がる。赤ん坊の泣き声がする。母親は重傷で意識がない。二か月ぐらいの赤ちゃんが出べそをふくらまして横で泣きたてている。もう火は近いので、私はせめて子供なりと助けようと抱き上げて上の畑へ登り、浜崎君の隣に寝せた。そのとき浜崎君が突然うーんとうなってぐったりとなった。私はああ駄目だと思い、鋏を出して彼女の前髪を切り取り、ポケットにおさめた。山田君と婦長さんとが親と子を離してはかわいそうだといい、下から母親を抱き上げてきた。赤ん坊を胸の所に添えて寝かせると激しく泣きたてた。意識のない母親の手が赤ん坊の所へ動いた。