Japanische Klassiker mit Furigana
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ながさきのかね
長崎の鐘
永井 隆
Lesen Sie 長崎の鐘 (ながさきのかね) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.109 Zeichen · 131 Bildschirme
これが辻田君であろう。この骨はもう「ネエ、ほほ!」とは笑わない。紙に拾い集めながら、夢ならば夢ならば、と繰り返し思う。蛸ちゃんが授業を受けていた講堂の焼け跡に来る。しらじらと陽に光る灰の中に、ああ、整然と並んでいる幾十の黒骨。この中にわが片岡君もまじっているのか。ノートとるペンを握ったまま一瞬に若い生命を奪われた学生たち。昨日の朝はあんなに元気で角帽を頂いて校門をくぐったのだったのに。
予期してはいたが希望していなかった恐ろしいことが、運動場の増産畑に見える五つの屍体に近づいた時、現実となってしまった。いくら待っても来ぬはずだった。いくら呼んでも応えぬはずだった。ここでこんなにして、片手を上げた格好で。多分山下君、吉田君、井上君が先に働いているところへ、後から浜君と小柳君とがやって来て声をかけたのだろう。三人が立ち上がって手を振った。二人も手をふって駆け出した。その瞬間に叩きつけられたものにちがいない。三人と二人とは離れて倒れている。「秀ちゃん」「ミッちゃん」と婦長さんが肩に手をかけてゆさぶったほど、あどけない死に顔だった。こんなに早く死ぬ子なら、あんなに叱らねばよかったと、山下君のかわいい鼻を見つめていて思う。