Japanische Klassiker mit Furigana
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もん
門
Lesen Sie 門 (もん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.830 Zeichen · 278 Bildschirme
飯にかかる前に、宗助は笑いながら、
「うん、面白いものが有ったっけ」と云いながら、袂から買って来た護謨風船の達磨を出して、大きく膨らませて見せた。そうして、それを椀の葢の上へ載せて、その特色を説明して聞かせた。御米も小六も面白がって、ふわふわした玉を見ていた。しまいに小六が、ふうっと吹いたら達磨は膳の上から畳の上へ落ちた。それでも、まだ覆らなかった。
「それ御覧」と宗助が云った。
御米は女だけに声を出して笑ったが、御櫃の葢を開けて、夫の飯を盛いながら、
「兄さんも随分呑気ね」と小六の方を向いて、半ば夫を弁護するように云った。宗助は細君から茶碗を受取って、一言の弁解もなく食事を始めた。小六も正式に箸を取り上げた。
達磨はそれぎり話題に上らなかったが、これが緒になって、三人は飯の済むまで無邪気に長閑な話をつづけた。しまいに小六が気を換えて、
「時に伊藤さんもとんだ事になりましたね」と云い出した。宗助は五六日前伊藤公暗殺の号外を見たとき、御米の働いている台所へ出て来て、「おい大変だ、伊藤さんが殺された」と云って、手に持った号外を御米のエプロンの上に乗せたなり書斎へ這入ったが、その語気からいうと、むしろ落ちついたものであった。