Japanische Klassiker mit Furigana
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もん
門
Lesen Sie 門 (もん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.830 Zeichen · 278 Bildschirme
十六
それを御米の前に置いて、
「姉さんに上げましょう」と云った。それから鈴を着けた、梅の花の形に縫った御手玉を宗助の前に置いて、
「坂井の御嬢さんにでも御上げなさい」と云った。
事に乏しい一小家族の大晦日は、それで終りを告げた。
十六
正月は二日目の雪を率て注連飾の都を白くした。降りやんだ屋根の色がもとに復る前、夫婦は亜鉛張の庇を滑り落ちる雪の音に幾遍か驚ろかされた。夜半にはどさと云う響がことにはなはだしかった。小路の泥濘は雨上りと違って一日や二日では容易に乾かなかった。外から靴を汚して帰って来る宗助が、御米の顔を見るたびに、
「こりゃいけない」と云いながら玄関へ上った。その様子があたかも御米を路を悪くした責任者と見傚している風に受取られるので、御米はしまいに、
「どうも済みません。本当に御気の毒さま」と云って笑い出した。宗助は別に返すべき冗談も有たなかった。
「御米ここから出かけるには、どこへ行くにも足駄を穿かなくっちゃならないように見えるだろう。ところが下町へ出ると大違だ。どの通もどの通もからからで、かえって埃が立つくらいだから、足駄なんぞ穿いちゃきまりが悪くって歩けやしない。