Japanische Klassiker mit Furigana
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もん
門
Lesen Sie 門 (もん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.830 Zeichen · 278 Bildschirme
かように、堕落の方面をとくに誇張した冒険者を頭の中で拵え上げた宗助は、その責任を自身一人で全く負わなければならないような気がした。彼はただ坂井へ客に来る安井の姿を一目見て、その姿から、安井の今日の人格を髣髴したかった。そうして、自分の想像ほど彼は堕落していないという慰藉を得たかった。
彼は坂井の家の傍に立って、向に知れずに、他を窺うような便利な場所はあるまいかと考えた。不幸にして、身を隠すべきところを思いつき得なかった。もし日が落ちてから来るとすれば、こちらが認められない便宜があると同時に、暗い中を通る人の顔の分らない不都合があった。
そのうち電車が神田へ来た。宗助はいつもの通りそこで乗り換えて家の方へ向いて行くのが苦痛になった。彼の神経は一歩でも安井の来る方角へ近づくに堪えなかった。安井をよそながら見たいという好奇心は、始めからさほど強くなかっただけに、乗換の間際になって、全く抑えつけられてしまった。彼は寒い町を多くの人のごとく歩いた。けれども多くの人のごとくに判然した目的は有っていなかった。そのうち店に灯が点いた。電車も灯火を照もした。宗助はある牛肉店に上がって酒を呑み出した。