Japanische Klassiker mit Furigana
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もん
門
Lesen Sie 門 (もん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.830 Zeichen · 278 Bildschirme
宗助は糸底を上にしてわざと伏せた自分の茶碗と、この二三年来朝晩使い慣れた木の箸を眺めて、
「もう飯は食わないよ」と云った。御米は多少不本意らしい風もした。
「おやそう。余り遅いから、おおかたどこかで召上がったろうとは思ったけれど、もしまだだといけないから」と云いながら、布巾で鍋の耳を撮んで、土瓶敷の上におろした。それから清を呼んで膳を台所へ退げさした。
宗助はこういう風に、何ぞ事故ができて、役所の退出からすぐ外へ回って遅くなる場合には、いつでもその顛末の大略を、帰宅早々御米に話すのを例にしていた。御米もそれを聞かないうちは気がすまなかった。けれども今夜に限って彼は神田で電車を降りた事も、牛肉屋へ上った事も、無理に酒を呑んだ事も、まるで話したくなかった。何も知らない御米はまた平常の通り無邪気にそれからそれへと聞きたがった。
「何別にこれという理由もなかったのだけれども、――ついあすこいらで牛が食いたくなっただけの事さ」
「そうして御腹を消化すために、わざわざここまで歩るいていらしったの」
「まあ、そうだ」
御米はおかしそうに笑った。宗助はむしろ苦しかった。