Japanische Klassiker mit Furigana
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もん
門
Lesen Sie 門 (もん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.830 Zeichen · 278 Bildschirme
間接にそれを御米に問うことはなおできなかった。彼は山にいる間さえ、御米がこの事件について何事も耳にしてくれなければいいがと気遣わない日はなかったくらいである。宗助は年来住み慣れた家の座敷に坐って、
「汽車に乗ると短かい道中でも気のせいか疲れるね。留守中に別段変った事はなかったかい」と聞いた。実際彼は短かい汽車旅行にさえ堪えかねる顔つきをしていた。
御米はいかな場合にも夫の前に忘れなかった笑顔さえ作り得なかった。と云って、せっかく保養に行った転地先から今帰って来たばかりの夫に、行かない前よりかえって健康が悪くなったらしいとは、気の毒で露骨に話し悪かった。わざと活溌に、
「いくら保養でも、家へ帰ると、少しは気疲が出るものよ。けれどもあなたは余まり爺々汚いわ。後生だから一休したら御湯に行って頭を刈って髭を剃って来てちょうだい」と云いながら、わざわざ机の引出から小さな鏡を出して見せた。
宗助は御米の言葉を聞いて、始めて一窓庵の空気を風で払ったような心持がした。一たび山を出て家へ帰ればやはり元の宗助であった。
「坂井さんからはその後何とも云って来ないかい」
「いいえ何とも」