Japanische Klassiker mit Furigana
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もん
門
Lesen Sie 門 (もん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.830 Zeichen · 278 Bildschirme
その上、
「御前も新世帯だから、さぞ物要が多かろう」と云って金を六十円くれた。
家を持ってかれこれ取り紛れているうちに、早半月余も経ったが、地方にいる時分あんなに気にしていた家邸の事は、ついまだ叔父に言い出さずにいた。ある時御米が、
「あなたあの事を叔父さんにおっしゃって」と聞いた。宗助はそれで急に思い出したように、
「うん、まだ云わないよ」と答えた。
「妙ね、あれほど気にしていらしったのに」と御米がうす笑をした。
「だって、落ちついて、そんな事を云い出す暇がないんだもの」と宗助が弁解した。
また十日ほど経った。すると今度は宗助の方から、
「御米、あの事はまだ云わないよ。どうも云うのが面倒で厭になった」と云い出した。
「厭なのを無理におっしゃらなくってもいいわ」と御米が答えた。
「好いかい」と宗助が聞き返した。
「好いかいって、もともとあなたの事じゃなくって。私は先からどうでも好いんだわ」と御米が答えた。
その時宗助は、
「じゃ、鹿爪らしく云い出すのも何だか妙だから、そのうち機会があったら、聞くとしよう。なにそのうち聞いて見る機会がきっと出て来るよ」と云って延ばしてしまった。