Japanische Klassiker mit Furigana
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もん
門
Lesen Sie 門 (もん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.830 Zeichen · 278 Bildschirme
「小六さんは、まだ私の事を悪んでいらっしゃるでしょうか」と聞き出した。宗助が東京へ来た当座は、時々これに類似の質問を御米から受けて、その都度慰めるのにだいぶ骨の折れた事もあったが、近来は全く忘れたように何も云わなくなったので、宗助もつい気に留めなかったのである。
「またヒステリーが始まったね。好いじゃないか小六なんぞが、どう思ったって。おれさえついてれば」
「論語にそう書いてあって」
御米はこんな時に、こういう冗談を云う女であった。宗助は
「うん、書いてある」と答えた。それで二人の会話がしまいになった。
翌日宗助が眼を覚ますと、亜鉛張の庇の上で寒い音がした。御米が襷掛のまま枕元へ来て、
「さあ、もう時間よ」と注意したとき、彼はこの点滴の音を聞きながら、もう少し暖かい蒲団の中に温もっていたかった。けれども血色のよくない御米の、かいがいしい姿を見るや否や、
「おい」と云って直起き上った。
外は濃い雨に鎖されていた。崖の上の孟宗竹が時々鬣を振うように、雨を吹いて動いた。この侘びしい空の下へ濡れに出る宗助に取って、力になるものは、暖かい味噌汁と暖かい飯よりほかになかった。