Japanische Klassiker mit Furigana
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もん
門
Lesen Sie 門 (もん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.830 Zeichen · 278 Bildschirme
「あなた、あの屏風を売っちゃいけなくって」と突然聞いた。抱一の屏風はせんだって佐伯から受取ったまま、元の通り書斎の隅に立ててあったのである。二枚折だけれども、座敷の位置と広さから云っても、実はむしろ邪魔な装飾であった。南へ廻すと、玄関からの入口を半分塞いでしまうし、東へ出すと暗くなる、と云って、残る一方へ立てれば床の間を隠すので、宗助は、
「せっかく親爺の記念だと思って、取って来たようなものの、しようがないねこれじゃ、場塞げで」と零した事も一二度あった。その都度御米は真丸な縁の焼けた銀の月と、絹地からほとんど区別できないような穂芒の色を眺めて、こんなものを珍重する人の気が知れないと云うような見えをした。けれども、夫を憚って、明白さまには何とも云い出さなかった。ただ一返
「これでもいい絵なんでしょうかね」と聞いた事があった。その時宗助は始めて抱一の名を御米に説明して聞かした。しかしそれは自分が昔し父から聞いた覚のある、朧気な記憶を好加減に繰り返すに過ぎなかった。実際の画の価値や、また抱一についての詳しい歴史などに至ると宗助にもその実はなはだ覚束なかったのである。