Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうざ
陽炎座
泉 鏡花
Lesen Sie 陽炎座 (かげろうざ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.381 Zeichen · 67 Bildschirme
出窓の硝子越に、娘の方が往かえりの節などは、一体傍目も触らないで、竹をこぼるる露のごとく、すいすいと歩行く振、打水にも褄のなずまぬ、はで姿、と思うばかりで、それはよくは目に留まらなかった。
が、思い当る……葬式の出たあとでも、お稲はその身の亡骸の、白い柩で行く状を、あの、門に一人立って、さも恍惚と見送っているらしかった。
十九
女房は語続けた――
「お稲ちゃんが、そんなに美しく身のまわりの始末をしたのも、あとで人に見られて恥かしくないように躾んでいたんだわね――そして隙さえあれば、直ぐに死ぬ気で居たんでしょう、寝しなにお化粧をするのなんか。
ですから、病院へ入ったあとで、針箱の抽斗にも、畳紙の中にも、皺になった千代紙一枚もなく……油染みた手柄一掛もなかったんですって。綺麗にしておいたんだわ……友達から来た手紙なんか、中には焼いたのもあるんですって、……心掛けたじゃありませんか。惜まれる娘は違うわね。
ぐっと取詰めて、気が違った日は、晩方、髪結さんが来て、鏡台に向っていた時ですって。夏の事でね、庭に紫陽花が咲いていたせいか、知らないけれど、その姿見の蒼さったら、月もささなかったって云うんですがね。