Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すずめがもりのかいい

雀が森の怪異

田中 貢太郎

Lesen Sie 雀が森の怪異 (すずめがもりのかいい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.614 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

石燈籠のそばへ往ったところで、眼の前に物の気配がして白い衣服が見えた。

(もう来ているのか)

と、思う間もなく、

「――君」

神中の小さな白い顔がこっちを見た。

「神中君か」

「気の毒だったね、おそく」

「なんだね」

彼は早く怪しい用事を聞きたかった。

「なんでもないことだ、君にこれでね」と、神中は右の手の指端を見せるようにした。そこには短い白い糸のようなものがあった。「これで、僕の左の人さし指を縛ってくれたまえ」

小供のするように指を縛ってどうすかつもりだろう、彼は聞きちがいではないかと思ったので問いかえした。

「指を縛るのか」

「そうだ、これで三度まわして、きちんと縛ってくれたまえ」

「禁厭か」

彼はばかばかしいので叱りつけるように云った。

「禁厭と云うわけでもないが、それでいい、縛ってもらえば」

「そうか」

ばかばかしくても指を縛るくらいはなんでもないので、すぐ手をやって神中の手にしたものをとった。それは紙捻であった。

「指を出したまえ」

「すまないね」

彼の眼の前には神中の白い左の手の指が、美麗に透きとおるように見えていた。彼はそのままその紙捻を人さし指に巻きつけて、三度まわしてきちんと縛った。