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Japanische Klassiker mit Furigana

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あめのやど

雨の宿

岩本 素白

Lesen Sie 雨の宿 (あめのやど) von 岩本 素白 (いわもとそはく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.050 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

のはずれで、全く他の部屋と縁の切れて居るのをよいと思ったが、それよりも其の狭い中庭の一方を仕切る土蔵の白壁を背景にして、些か振りを作ってある松の緑が、折からの時雨に美しい色を見せ、ほかには何の木も無いのが却ってよかった。殊に其処は小さな二た間つづきで、その両方のどちらの窓に倚っても、中庭ごしの白壁のほかに、北から西へ掛けて屋根の上、物干しのはずれ、近所の家々の蔵が五つ六つもずらりと白い壁を見せて居る。蔵というものは、場合によっては陰気にさえ見えるほど静かな感じを与えるものであるが、東京あたりでは此の頃それが段々見られなくなってしまった。久しい以前、始めて川越の町を見に行った折、黒磨きの土蔵造りの店がずらりと並んで居る町筋を通って、眼を見はったことがあるが、考えて見れば川越は江戸よりも古い文化を持った町であった。まして此処は旧い都、ことに此の辺りは落ち着いた家の多い町である。こういう背景を持った此の部屋の、ひっそりとした気配に、すっかり京都へ来たような気になって、些かいぶせき宿ではあるが、ともかくここを当分の塒にしてと思い定めたことである。

京都の駅に着いた時、もう降り始めていた小雨が、暗くなると本降りになって夜を通して蕭条と降り注ぐ。