Japanische Klassiker mit Furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
現に家には書生が三人います。惣領の忰も来年は大学にはいるはずです。わたしは人の世話をしたからとてその人から礼を言われたいなぞとそんな卑劣な考えは微塵も持ってはいません。失敗成功そんな事はわたしの深く問う処でない。唯いつまでも心持よく話の出来るような人物になってもらいたい。わたしの世話をしたものは皆成功しています。しかしわたしにはその成功ぶりが甚だ気に入らんのです。
名前は言いませんがもう七、八年前の事です。人から頼まれまたわたし自身も将来有望と思って或青年の画家に経済的援助を与えた事がありました。蕪村とか崋山とかいうような清廉な画家になるだろうと思ったら大ちがいでした。展覧会で一、二度褒美を貰い少し名前が売れ出したと思うともう一廉の大家になりすました気で大に門生を養い党派を結び新聞雑誌を利用して盛んに自家吹聴をやらかす。まるで政治運動です。しかしその効能はおそろしいもので、素寒貧の書生は十年ならずして谷文晁が写山楼もよろしくという邸宅の主人になりました。
もう一人成功した家の書生でわたしの閉口しているものがあります。これは教育家です。大学に通っている時分或日わたしに俳句を教えてくれというからわたしももともと嫌いな道ではないので蔵書も貸してやる。