Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのいきのあと
青春の息の痕
倉田 百三
Lesen Sie 青春の息の痕 (せいしゅんのいきのあと) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.338 Zeichen · 254 Bildschirme
の最初のシーンが思われてなりませんでした。汽船の見えなくなってからも、彼女の髪の銀のかんざしの遠くに小さく光ってキラキラしていたのが眼に残って消えませんでした。
彼女のねがいは私の妻になりたいと一すじに思ってるのです。そして私がその約束をしないので悲しがるのです。彼女は信じて恋しく思う男子に身も心もささげて妻になりたいというきわめて単純なねがいなのです。けれど私はさまざまのことを考えねばならない地位にいます。ことに私は結婚というものを十分に肯定するあきらかな根拠をさえ持ってるわけではないのですから。
病気のことや経済の問題は除いても私は性を十分に肯定することができかねるような考え方になっているのです。それは私の宗教的気分から来るのです。昔から多くの聖者たちが女から遠ざかったように、私にも天の使のようになるためには性を超越せねばならないような心地もします。元来生物の自己認識から起こる愛であり、愛の成就としての信仰ならば、性の愛とは別なもの、むしろ反対のものが宗教的愛のように考えられます。ショーペンハウエルなどから出て来た私の思想は、性はエゴイズムの最も顕著な動物的要求のように感ぜられ、神に赴くの愛はそのありさまを一度認識して厭離した心持ちより生ずるもののごとく考えられます。