Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あおきのしゅっきょう

青木の出京

菊池 寛

Lesen Sie 青木の出京 (あおきのしゅっきょう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.513 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

その蒼白い横顔を見た時に、雄吉はすぐそれが青木であることを知った。

「青木君! どこへ」と、雄吉は思わず声をかけた。月夜でもない晩に、夜更けて運動場の闇の中へと歩を運ぶ青木の心が、その時の雄吉には、ちょっと分からなかったからだ。

「ちょっと散歩するのだ」といいながら、雄吉の存在などには、少しも注意を払わずに、痩せぎすな肩をそびやかせて、何かしら瞑想に耽るために、闇の中に消えていく青年哲学者――雄吉はその時、そんな言葉を必ず心のうちに思い浮べたに違いない――の姿を、雄吉はどれほど淑慕の心をもって見送ったか分からない。

またその頃の青木は、教室の出入りに、きっと教科書以外の分厚な原書を持っていた。雄吉などが、その頃、初めて名を覚えたショーペンハウエルだとかスピノザなどの著作や、それに関する研究書などを、ほとんどその右の手から離したことがなかった。しかも、それを十分の休憩時間などに、拾い読みしながら、ところどころへ青い鉛筆で下線を引いていた。

そうした青木の、天才的な知識的な行動――それを雄吉は後になってからは衒気の伴ったかなり嫌味なものと思ったが、その当時はまったくそれに魅惑されて、天才青木に対する淑慕を、いやが上に募らせてしまった。