Japanische Klassiker mit Furigana
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かばんらしくないかばん
鞄らしくない鞄
海野 十三
Lesen Sie 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.653 Zeichen · 73 Bildschirme
「赤見沢先生が失踪されたとは、これは初耳ですな。それは何時のことですか」
「昨夜以来、お邸へお帰りがない。お邸と申しましても、それはラボラトリーの一室ですが……。私は昨夜はお目に懸る約束になっていたので博士の御帰りを待って居りましたが、遂に博士はお帰りにならず、本日午前十時になっても姿をお現わしになりません。それ故にこれは大変だと思い――今までそんな約束ちがいは一度もありませんでしたからな――それで目賀野閣下に御相談をし、こちらへ駈付けましたような訳です。如何です。昨夜何か都下において血腥き事件でもございませんでしたでしょうか」
臼井は錐のように鋭く問い迫る。
「昨夜は極めて静穏でしたな。報告するほどの事件は一つもなかった。いや、正確に申せば只一件だけあった。深夜池袋駅停りの省線電車の中に、人事不省になった一人の男が鞄と共に残っていたというだけのことです」
「えっ、鞄と仰有いましたか」
「ああ、鞄――それはスーツケースらしいですが、それが車内に残留していたので、その人事不省の人物の所持品じゃろうと……」
「その人事不省の男というのは、どんな男でしたか。年齢はどのくらい……」