Japanische Klassiker mit Furigana
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すまでらふきん
須磨寺附近
山本 周五郎
Lesen Sie 須磨寺附近 (すまでらふきん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.396 Zeichen · 21 Bildschirme
だんだん道が狭くなって、しかも次第に谿間へ入ってゆくので、元気な青木も何度か立止まった。清三はこの山の奥のほうに無籍者が出没するという話を聞いたことがあるので、女連れがあるだけに急に気になり出した。そのうえ道は六甲の頂上へ行くものでないことがはっきりしてきたから、三人はそれから戻ることにした。
「人間の一生に」青木が谿流の中に持っていた杖の先をひたしながら云った、「こうした静かな行楽や、温い散歩が何度あるだろうか」
清三は黙って聞いた、康子は白い雲を見上げていた。
帰りの道は下りなので楽だった。清三は康子と狭い道を並んで歩いた、青木は大股にどんどん急いだ、で、次第に清三たちとのあいだに距離ができた、道が曲がると彼の姿は見えなくなった、急ごうとした清三に二三歩後れた康子が、あっと軽い驚きの声をあげて立止まったので清三は見返った、康子の右足の草履の緒がきれている――立戻った清三はとっさのまに手帛を取り出してそれを裂いた、そして康子の足元に跪いて草履をとりあげた。無器用な手で清三がどうやら緒を継ぎ終るまで康子は微笑しながら見下ろしていた。
「ありがとう」