Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.621 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

が眼に見えるような位置におかれている。

役人溜りでは、夜詰の同心がちょうど手紙を書きだしたところで、巻紙に「拝啓、陳者……」と書きかけ、その硯の水もまだ乾いていない……

この船でいったいなにが起ったというのか?

釜場では二番炊きをしかけ、桶からたくあんを出しかけたところで、……役人溜りでは手紙を書きだしたところで、……船頭溜りでは交替したばかりの夜組が朝めしを食いかけたところで、……七人の囚人もろとも綺麗さっぱりと船から消えてしまった。

船の中は隅から隅まできちんと整頓されていて、闘争があった跡もなければ、騒動のあったようすもない。ついさっきまできわめて平和な日常のくりかえしが長閑に行われていたことが、はっきり見てとられる。

時化にでも逢って、やむなく船を見すてなければならなかったか? 先ほども言ったように十七日の夕方までやや強い北西の風が吹いたが、それからは微風つづきのいい凪だった。測り知られざるなにかの理由で船を見すてなければならなかったとしても、では、どんな方法で船を去って行ったのか。備えつけの二艘の艀舟は苫屋根の両がわに縛りつけられたままになっている。