Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.712 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

まるで、蝙蝠が翼でもひろげたように、たがいに袖で口をおおいながら、地虫の鳴くように低い声でボソボソとささやきあっている。

「ねえ、阿古十郎さん、詮じつめたところ、あなたの見こみはどうなんです。……なにしろ、定廻り、隠密廻り、目明し、下っ引、と二百人にもあまる人数を総出させ、こうして蠣殻町をひっつつんでしまったというのには、それ相当のたしかな目当てがあってのことでしょうねえ。……気障なことを言うようですが、これだけの人数を動かしておいて、今晩はやって来ませんでした、また明晩のお楽しみじゃ、北町奉行所の面目は丸つぶれ、たいへんな物笑いになるわけですが、そいつは間違いなく今晩やって来るんですか。……もう、かれこれ八ツ半。間もなく夜も明けますが、今もって姿を現さないところを見ると、少々心細いことになりましたね。……まったく、こりゃあ、気が気じゃねえ」

顎十郎は、フンと鼻を鳴らして、

「相変らず、びくしゃくした男だの。なにもそう気をもむにゃア当らない。おれは神でもなければ仏でもない、やり損いもあろうし、しくじりもあろう。そんなことを怖がって仕事が出来るものか。