Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.984 Zeichen · 28 Bildschirme
おい、ひょろ松、とど助さん。吉兵衛は、どうでも藤五郎とおもんに疑いがかかるように仕組んでおいて自分で家に火をつけて死んだんですぜ」
ひょろ松は、えっとおどろいて、
「ど、どうしてそういうことが……」
「そうだろうじゃないか。だいいち、永代経がものを言う。それに、この日づけを見ろ。これをあげに来たのは十一日だったというのに、ここには『六月十五日』と書いてある。十五日というのは吉兵衛が死んだ昨日のこと。十五日に死ぬ、十五日に死ぬと、そればっかり考えているもンだから、ついなんの気もなしにその日づけを書いてしまったンだ」
ひょろ松は、腑に落ちぬ顔で、
「それはともかく、どういうわけで十五日なんていう日を選んだのでしょう」
「六月十五日は小鰡の切網ゆるしの日で、かならず藤五郎が留守にするとわかっているから、それで、この日を選んだンだ。して見るとこりゃア長いあいだかかって企んだものなんだな。……これで見ると、吉兵衛というやつはよっぽど執念ぶかい奴にちがいない。三階から死骸を投げ落したように見せかけるために自分でわざわざ屋根の物干場へあがって焼け死に、おもんか藤五郎でなければやれないというふうに拵えたところなンか実にどうも天晴れなもンだ」