Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.550 Zeichen · 27 Bildschirme
……それについて、加代姫さま、つかぬことを伺うようですが、あなたは、だれかに恨みをうけるような覚えはありませんか」
加代姫は急に咽きあげ、その涙のひまひまに、
「恨まれる覚えはたったひとつある。あんな無惨な死に方をさせたこのわたしを、あの世とやらで、数馬が、きっと恨んでいましょう」
「ほほう、それは耳よりな話ですな。……ながながとくだらないことばかりをお喋りしてさぞお耳ざわりだったことでしょう。手前はこれから『かごや』へ行って、とっくりと検べあげ、夕方までに吉左右をお知らせいたします、では、ごめん」
和泉橋の北づめの藤堂の屋敷を飛びだす。
橋を渡ったむこうがわが『かごや』。急ぐようすもなくのそのそと和泉橋を渡り、のっそりと『かごや』のなかへ入って行く。
あげ座敷の上框に腰をかけていた藤波友衛。
「いよう、これは仙波さん、絶えて久しいご邂逅。どうです、駕籠屋はもうかりますか」
「どなたかと思ったら藤波先生。あいかわらずご勝健の体でなにより。それはそうと、今度の件ですがね、ありゃア加代姫が殺ったのではありません。加代姫が引きとってから、この『かごや』へやって来たやつの仕業なんです」