Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.550 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

いかにも愛らしく美しいものだによって、ときどき召しよせて香遊びの相手などいたさせているうちに、岩根の下ゆく水、たがいの心が通うようになりました。……お父上は文教のお心深く、諸事わけてもご厳格。このような始末がお耳にはいったら、数馬の生命はないもの。今年の節分の夜、いつものようにわたしの部屋にいるところへ鬼を払うとて前ぶれもなく、とつぜん父上がお渡りなさいました。腰元の注進で、数馬はどうにか部屋の長持の中へ押隠したが、それさえようよう。きわどい瀬戸ぎわで覚られることだけはまぬがれましたが、父上がおもどりになったあとで、急いで長持の蓋をはらって見ますと、数馬はもう息絶えて冷くなっている。そのときの、わたしの驚きと悲しみ……」

顎十郎はうなずいて、

「……なるほど、そういうわけだったんですか。数馬さんとやらの死体の処置に困って、六平にそっとかつぎ出させ、このへんならまず皀莢河岸、重石でもつけて濠の深みへ沈めたというわけ。よくあるやつですな。そのくらいのことなら、なにもそう秘し隠されるには及ばなかった。……よくわかりました。そういうことならもう大丈夫。明日といわず今日じゅうに、かならず真の下手人の当りをつけてごらんに入れますから、大船に乗ったつもりでいらしてください。