Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.550 Zeichen · 27 Bildschirme
そのかわり、腰をぬかさぬようにそのへんの蝶番をしっかりと留めておけ。……なにを隠そう、俺の金主というのは藤堂さまの加代姫さま。……ひッ、けだものどもめ、なんとも胆がつぶれたか。……これ六平や、そなたは路考に生写し、好いたらしいの総浚い。陸尺などにはもったいない。身分に上下のへだてがなければ、婿がねにして床の間へ、置物がわりにすえておき、朝から晩まで眺めようもの、ままならぬ浮世が恨めしい。金はどれほどでも出してやるから手近なところで店でも持ち、ゆくすえ長く垣間見させたもいのう。……と、いうわけなんだ」
「気味のわるい声を出しゃアがる。……このスケテン野郎、手前の面が路考に似てると。飛んでもねえことぬかしゃがる。どう見たって、塩釜さまの杓子面。安産札じゃねえが、面のまんなかに字が書いてねえのが不思議なくらいだ。……加代姫さまといやア、大名のお姫さまの中でも一といって二とさがらねえ見識の高いお方。毎朝、手洗の金蒔絵の耳盥をそのたびにお使いすてになるというくらいの癇性。殿さまがお話にいらっしゃるにも前もって腰元を立ててご都合をうかがうという。その加代姫さまが、てめえのような駕籠の虫に惚れるの肩を入れるなんてことは、天地がでんぐり返ったってあろうはずがねえ。