Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.406 Zeichen · 27 Bildschirme
たぶん、あたくしの気のせいでしょうけど、いま、あたくしの家になにか怖ろしいことが始まりかけているような気がしてなりませんの」
と言って、チラと怯えたような眼つきをし、
「埓もない話ですが、あす祝言する小姉のお米はなんだかほんとうの姉でないような気がしてなりません。なんとなく他人のような気がして情が移りませんのです」
「と、ばかりではよくわかりかねますが……」
「そうですわ。もっと詳しくお話しなければなりませんのね。……でも、どう言ったらいいのかしら……」
かんがえるように頸を傾げながら、
「顔も、そぶりも、声も、どこといってちがうところなどないのですけど、ひと口には言えないようなところに、今までの姉とはちがうようなところがありますのです。気のついたところだけ申しあげますけど、姉のお米はわりに癇の強いほうなもンですから、不浄へ行って手水をつかうとき、かならず左手に杓を持って右から洗うのがきまりで、右手に杓を持つようなことはこれまでただの一度もなかったことですのに、このごろはいつも、右手で杓を取って左手から先に洗うのです。……もうひとつは、これもほんのちょっとしたことですけど、姉は枕に汗がつくのを厭がって、ときどきうっとりと眼をひらくと、枕もとにいるあたくしに、きまって枕を取りかえてくれとせがむのですが、それが忘れ