Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.904 Zeichen · 28 Bildschirme
今のうちに返してくれさえすれば胸をさすって内分にしてやるからという意外なお話。わたくしといたしましては寝耳に水。まるで狐につままれたような気持。……名題昇進の披露に『小鰭の鮨売』の新作所作を出しますことはまだまだ先のことで、わたくしと座元と頭取の三人の胸にだけあること。どうして洩れたのか、それさえ訝しく思うくらい。いわんや、わたくしが鮨売になって町をふれ歩き、わたくしと見やぶった人に印物をくれるなどというのは思いもよらぬことなのでございます」
ちょっと言葉を切り、
「……ところで、わたくしが鮨の呼売りをして歩いたと言われている八ツから七ツまでの時刻には、毎日寺島の寮で父親の看病をしておりまして、そこから楽屋入りをしておりますような次第。その時刻にわたくしが寮におりましたことは、大勢、証人がございます。……それで、大桝屋の旦那を寺島村の寮までお伴い申し、わたくしが鮨の呼売りなどが出来なかった次第を実証いたしましたところ、それでようやくお疑いがとけたというわけでございました。……それにもうひとつ、わたくしの身のあかしを立てることがございます。只今のお言葉のうちに、わたくしがじぶんで鮨売になって市中を徘徊したという条がございましたが、憚りながら、それは役者というものをご存じのないおかんがえ、小鰭の鮨売の型をとる