Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.960 Zeichen · 24 Bildschirme
観念して乗せていただくことにしますから、そんな凄い顔をしないでください」
ひょろ松は、ほうほうの態で駕籠のほうへ近よりながら、
「いや、どうもひどい目にあうもんだ。……では、はなはだ申しわけありませんが、どうかよろしくお願い申します」
と、草鞋の紐をときかけると、アコ長は駕籠の前へ立ちふさがり、
「まア、まア、待ってくれ。乗るのはいいが、今すぐ駈けだすというわけには行かん。実は、昨日からなにも食っていねえので、このままじゃア駕籠を持ちあげることさえ出来やしない。ともかく、二人に飯を食わせてからのことにしてくれ」
「こりゃア驚いた、それもわたしが払うんで」
「まあ、そうだ」
「乗りかかった駕籠だ。もう、観念しまっせ」
二人のうしろに喰いついて、ひょろ松が渋しぶ立場へ入ると、アコ長ととど助は落着いたもので、芋豆腐を肴にいっぱい飲りだした。
ひょろ松は、あわてて、
「こりゃア、どうも弱った。そうゆっくり腰をすえられちゃア困ります。なにしろ、あっしは大急ぎなンで……」
とど助は、気にもかけぬふうで、
「まあ、まア、そう急ぐことはない。これから府中までは七里半の道。じゅうぶんに兵糧を入れておかんことには早駈けすることが出来ん。