Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.960 Zeichen · 24 Bildschirme
「怪しからんやつだの」
「……次の日になって簪の紋を調べて見ると、府中小町なんていわれるお源のものだということがわかったから、桜場はすっかり悦に入ってしまった。かねてお源にはぞっこんまいっていて附け文の二、三度もしたことがあるンだから、てっきり文の返事を手っとり早いところでやってくれたンだと早合点して、自分じゃもうお源の婿になったつもりでおさまり返っていた。……ちょうどそのころ、桜場はよんどころない用事で江戸へ出かけなければならないことになり、一年ばかりしてから府中へ帰ってみると、青梅屋の三男坊が婿にきまって、もう結納までとりかわしたというんだからおさまらない。……俺とお源は去年の暗闇祭にきっぱりとした関係になっているンだから、お源の婿はこの桜場清六。強情でも騙りでもねえ、まぎれもないその証拠はこの銀簪、てなわけで青梅屋の店さきへ大あぐらをかいて啖呵を切ったンです。……青梅屋のほうじゃ竦みあがっちまった。結納の翌々日、しかも相手もあろうに乱暴無類の桜場清六だというんだから手も足も出ない。すったもんだのすえ府中の顔役の二引藤右衛門、これに仲へ入ってもらって三百両という金でおさまってもらうことにした。