Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.040 Zeichen · 26 Bildschirme
。ふたり枕をならべてどっと病みふす酸苦。伜のひとつ手ではとうてい七人の口をすごしかねる。日々のたつきも立ちませぬところから、さまざま奔走のすえ、ようやくありついたお飼場下飼人の役。一家七人が糊ほどのものを口に入れることが出来るようにはなりましたが、世が世であれば、馬まわり五百石。多端の折から、あっぱれ花も咲かすべきその身が、下司塵垢の下飼人。いやな顔ひとつ見せるどころか、かいがいしいばかりのつとめ孝養。見るにつけ思うにつけ、あまりといえば……あわれ」
というと、草にくらいついて、せきあげて泣き出した。
顎十郎は、ゆっくり浮木から眼を離し、
「それで、死のうとなすったか」
「は、はい。……せめて、ひとりの口なりともと存じまして……」
「……そりゃア悪い了見だの、考えがちがう。……あなたを生かしておきたいばっかりに、伝四郎氏とやらが苦労する。それを……、それを、あなたが死んじまったんじゃア身も蓋もない。五百石とって、つき袖でそっくりかえって歩くばかりが、この世の幸福じゃねえ。喰うものを喰わずとも、親子そろってその日が送られるというのは、なんにもまして有難いこと。