Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.040 Zeichen · 26 Bildschirme
のお飼料の精米を盗み、稗、籾その他のものをもって代えおるものがあるためと存じます。……鶴御成が明日に切迫いたし、上様御覧のみぎり、『瑞陽』が衰弱いたしおるため、おのが悪事を見あらわされんことを恐れ、水蛭の歯形によく似たる、猪目透二字切の手突矢にて突きころし、水蛭の咬み傷によって死したる如くによそおったものに相違ございません」
いならぶ床几から、どっと嘆賞の声が起る。
遠江守は、顎十郎にむかい、
「仙波阿古十郎。藤波友衛の推察はただいま聞きおよんだ通り。そちの見こみは、なんとじゃ。異論にてもあらば申して見よ」
顎十郎は、どこ吹く風と藤波の弁舌を聞き流していたが、この問をうけると、急にへらへらと笑いだし、
「いや、どうも、藤波氏の名論卓説には、手前もうっとりいたしましたが、御高弁にかかわらず、まるきりの見当ちがいかと存じられます」
「はて。その次第は」
顎十郎は、とぼけた長い顎を、風にふかれたへちまといったぐあいに、ブラブラとぶらつかせながら、
「手前、つらつらと考えますところ、上の御威勢はあまねく、いわんや、このかこい場などにて御寵愛のお鶴の餌を盗むがごとき不心得者はいようとは存じられませぬ。