Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.028 Zeichen · 28 Bildschirme
……心法寺原へ空乗物をかついで行ってこわしたのも、そいつらの仕業だったんでございます」
「しかし、鍋島の乗物の数が……」
「だから、それも大間違い。……ふたりを辻番所へあずけて、すぐ赤坂御門へすっとんで行き、門帳をくりながら手きびしく突っこんで見ると、……いや、どうも、まんの悪いときはしょうがないもの。……本伝寺からの帰りの十四挺と、赤坂今井谷へ行った、やはり鍋島さまの十挺の駕籠が、ちょうど御門前で落ちあい、両方あわせて、『鍋島様御内、〆二十四挺』というわけ。誰の間違いというわけでもない。つまり、こちらの運が悪かった。……今井谷は、眼と鼻のあいだ。すぐ寺へ飛んでいって調べて見ると、鍋島さまのご代参の女乗物はいかにも十挺。寺を出たのが、六ツ少し前……」
藤波は、ヨロヨロと二三歩うしろによろめくと、霜柱の立った土堤へべッたりと腰をおろして、両手で顔をおおってしまった。
せんぶりの千太は、肩で大息をつきながら、
「……旦那、旦那、あなたひとりのことじゃない。殿さまが大恥をかく。……ひともあろうに鍋島閑叟侯をこんどの犯人だと正面きって訴人をし、これを老中列座のなかで披露したそのあとで、まるっきりの間違い、見当ちがいだなんてえことになったら、とても、お役御免どころではすまない。