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Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.028 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

埓もないことのようですが、ひとこともうし添えます」

という大井の申立てだった。

まだひと通りもある宵の口に、十三人もいっぺんに神隠しにあうなどというのは前代未聞のことで、ただただ、奇ッ怪というよりほかはなかったのである。

南と北

甲斐守がふいと顔をあげる。

老中阿部伊勢にみとめられ、小十人頭から町奉行に抜擢された秀才。まだ、三十そこそこの若さである。蒼白い端正な面を藤波のほうにふりむけると、

「言うまでもないことだが、古くは絵島生島事件。近くは中山法華経寺事件というためしもある。……さなきだに、とかくの世評のある折柄、御三家の奥女中が芝居見物の帰途、十三人もそろって駈落ちしたなどと取沙汰されるようなことにでもなれば、徳川家御一門の威信にかかわるゆゆしい問題。……さような風評の立たぬうちに、いかなる手段を講じても事件の本末をたずね、十三人の所在をあきらかにせねばならぬ」

といって、言葉を切り、

「たんに、世評のことばかりではない。実は、このことは、まだ茂承さまには内密にしてある。……存じてもおろうが、紀州侯は、諸事ご厳格な方であらせられるから、このようなことがお耳に入ったら、お忿怒もさぞかし、とても、二人や三人の腹切りではあいすむまい。