Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.022 Zeichen · 36 Bildschirme
……御用のため、秘密を守るためなら、親兄弟じぶんの子供でも殺す。都合によってはじぶんでじぶんの片手片脚を斬り捨て、てんぼうに化けたり、いざりに化けたりするようなことさえするんです。そういう怖い人が、そうやって崖の上に六人も腕組みをして突っ立っている。……たとえ、あたしがほんとうのことを言ったって、これほどの大事を知っているこのあたしを、生かしておこう道理はない。……ねえ、村垣さん、そう言ったようなもんでしょう?……言っても殺される、言わなくても殺されるじゃ、あたしは言わない。この秘密はこのままわたしの胸に抱いて、死んでゆきます。……どのみち殺すつもりなのなら、早く綱をお切りなさいな。こんなところで宙ぶらりんになっているのはかったるくてしょうがないから。……ねえ、村垣さんてば……」
上のほうでは、六人が崖っぷちに跼みこんで、なにか相談をしあっているふうだったが、間もなく一人だけが立上ると、ズイと崖のギリギリのところまで進み出て、
「おい、お八重、お前、どうでも死にたいか」
崖の下では、また、ほ、ほ、と笑って、
「ええ、死にたいのよ。……どうぞ、殺してちょうだい。