Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.022 Zeichen · 36 Bildschirme
……あなたたちだけが忠義面をすることはない……そちらが、将軍さまなら、こちらは本性院様よ。命を捨ててかかっている腰元が五十や百といるんです。……殺したかったら、お殺しなさい。……あたしが死ねば、すぐお後が引継ぐ。……それでいけなければ、またお代り。……いくらだっているんだから、いっそ、気の毒みたいなもんだわ」
「それだけ聞いておけば結構だ。……お前がこのへんをうろつくからは、これで、だいたい方角もついた。……では気の毒だが綱を切る」
「くどいわねえ。……方角がついたなんて偉そうなことを言うけど、あなた方にあの方のいどころなんかわかってたまるものですか。せいぜいやってごらんなさいまし、お手並拝見いたし……」
言葉尻が、あッという叫び声に変ったと思うと、女の身体は長い綱の尾を曳きながら、石のように落ちてゆく。
顎十郎は、うへえ、と顎をひいて、
「お庭番というだけあって、なかなか思い切ったことをする。……ひどく切っぱなれのいいこった。……それはそうと、いろいろ聞くところ、どうやら、だいぶ気障なセリフがまじっていたようだ。……祐堂和尚の言い草じゃないが、なるほど仏縁は争われねえ、こんなに早くご利益があろうとは思わなかった。