Japanische Klassiker mit Furigana
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かぜのたより
風の便り
Lesen Sie 風の便り (かぜのたより) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.044 Zeichen · 66 Bildschirme
やり切れなくなったら、旅行でもしてみたら、どうですか。不一。
二十五日井原退蔵
木戸一郎様
謹啓。
御手紙を、繰り返し拝読いたしました。すぐにはお礼状も書けず、この三日間、溜息ばかりついていました。私はあなたのお手紙を、かならずしも聖書の如く一字一句、信仰して読んだわけではありません。ところどころに、やっぱり不満もありました。小説の妙訣は、印象の正確を期するところにあるというお言葉は、間髪をいれず、立派でございましたが、私の再度の訴えもそこから出発していた筈であります。「たしかな事」だけを書きたかったと私は申し上げた筈でした。自分の掌で、明確に知覚したものだけを書いて、置きたかった、と言いました。けれども、このごろ私には、それが出来なくなりました。理由は、あります。けれども具体的には申し上げません。私は、それをあなたに訴えた筈です。けれどもあなたは、私の手紙を全然黙殺してしまいました。そうして、あなたご自身のお得意のテエマだけを一つ勝手に択んで、立派な感想を述べました。けれども、私はそのテエマに就いての講義は、ちっとも聞きたくなかったのです。