Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かぜ
風
壺井 栄
Lesen Sie 風 (かぜ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.702 Zeichen · 78 Bildschirme
「兄さんわたし、結婚しようと思うんです。」
思いきっていって、それで、借金をたのもうと思ったのだが、房次はそれほどせっぱつまっているとも知らず、呑気なことをいった。
「ふーん。脊椎はもういいのかね。」
「ええ、あの、ハシカ以来、なおったらしいです。ウミ、出ないんですもの。」
「そりゃよかった。お前がそんな気なら、わしも心がけとくよ。嫁のほしいのは何ぼでもいるよ。しかし、わしのぐるりは商人ばっかりでな。それでもええか。」
十五の年から家を出て丁稚から叩きあげた房次は、茂緒の心の歩みなど全然関心がない様子だった。ただ、この病気の妹が、結婚からとりのこされている哀れさだけを感じているらしい。
「わたし、自分で見つけますからご心配なく……」
仕方なく茂緒は笑ったが、それでもうあとのことはいえなくなってしまった。嫂も帰ってきた。寝床に入ってからも、明朝までにもう一度房次と話す機会を考えたが、それは希望的ではなかった。借金のことはともかくも、これから東京で暮すとすれば、何かにつけて頼らねばならないだろう房次の家を、妙な出方はしたくなかった。平凡にそんなことを考えて、茂緒は一心に房次をさぐっていた。